地球とほぼ同じ環境の天体があったとして、生物が誕生する確率はどれくらいなんだろう。
天文学者 (←標語的用法) は唯一のサンプルで生物が誕生したという観測事実から確率が 1 に近いと仮定し、分子生物学者は DNA のような構造が偶然にできる確率から非常に低い値を推定する。両者とも承知の上での推定だと思うが、前者には観測選択効果があるし、後者はプロセスや生物の形態を限定しすぎている可能性がある。ただまあ分子生物学的な推定の方がだいぶましな感じはする。
地球上の生物は単一の祖先をもつ可能性が高いという。これは少なくとも、地球のような環境があっても原始生物がポコポコ誕生するわけではなく、稀な現象であることを示唆する。トータルで確率が 1 に近い可能性を否定するわけではないが、観測しているのは生物が誕生した条件つき確率である。
一方で地球が形成されて比較的すぐに生物が誕生したことは、その逆を示唆しているようにも思える。ただしここにも観測選択効果があって、生命が誕生するのが遅れるとヒトレベルの知的生物まで進化する前に地球が寿命を迎えてしまう。