熱力学第一法則は、変則的な系を考えていないかぎり、ミクロなエネルギー保存則からの単純な帰結である。熱力学第二法則での事情はまったく違って、ミクロな物理法則に単純な対応物はない。
熱力学第二法則は、ある程度広い物理系で成り立っていると考えられる。とはいえ何でも許されるわけではなく、「熱力学第二法則が成り立つ」という条件はミクロな物理法則に制約を与える。
この条件を一般に何かいうのはたぶん無謀だが、もう少し素朴に必要条件を考えてみることはできる。たとえば「片方からの光を完全に反射し、もう片方からの光を完全に透過する鏡」は熱力学第二法則を破り、これが存在しないことは電磁場の基礎方程式に制約を与える。