てがみ: qatacri at protonmail.com | 統計 | 2025

202520905

BOOTH で売られている 3D モデルの利用規約には、「本規約は予告なく変更されることがある。その場合は最新の規約が適用される」という条項が書かれていることが多い。販売者を責める意図はないと前置きしたうえで、買い切りのデータに対してこんな規約は有効なんだろうか。

約款(定型約款)に関する規定の新設
売買,消費貸借,定型約款などの契約に関するルールの見直し
【改正民法対応】変更後の利用継続により同意したものとみなす利用規約(定型約款)の条項は有効なのか|知的財産・IT・人工知能・ベンチャービジネスの法律相談なら【STORIA法律事務所】

このような条項は「黙示の同意条項」と呼ばれるらしい。おおまかにいって「条項がなくてもユーザー側に不利益のない変更は可能。条項があっても不利益のある変更は無効な可能性が高い」といったところか。

しかし VN3 ライセンスは法律に詳しい人が作ったのでは、と思って調べてみると、本文に黙示の同意条項は存在せず、「合理的な方法で周知」するとある。

VN3 License - 本文・解説

つまり VN3 本体と矛盾しているし、 VN3 に優先するとしてもおそらくは無効な条項である。なぜこんな追加条項が広まったんだろう。

なお、実際にちゃんと読んでみて知ったのだが、 VN3 ライセンスの内容は、非法律家の私の感覚では「モデルデータの売買契約」というより「利用権の一時的付与」に近い。黙示の同意条項が無効でも、周知すればいつでも利用条件の変更が可能であり、猶予期間も明記されていない (C パターン以外)。つまり文面的には、購入の翌日にあらゆる利用が禁止されても文句は言えない。

キャラクターモデルなどにはプログラムのソースコードなどとは違った難しさがある。幅広い利用を認めつつ、制作者の権限を強くしておくのは一つの選択肢だと思う。ただそれでも、買い切りのデータに対するライセンスとして強力すぎないかと驚いた。ライセンスの文面とはそういうものなのかもしれないが。