てがみ: qatacri at protonmail.com | 統計 | 2025

202523604

肉眼で見ると、恒星は瞬くが惑星はほどんど瞬かない。この理由が「惑星の視直径が大きいから」なのは正しいのだろうが、「視直径が大きいから大気のゆらぎが平均化される」という説明には疑問がある。

おおざっぱに議論する。大気のゆらぎが惑星の視直径で十分に平均化されるなら、ゆらぎの大きさは惑星の視直径以下である。また、惑星は肉眼で面積体として認識できないので、惑星の視直径は肉眼の分解能以下である。つまり、ゆらぎの大きさは肉眼の分解能以下ということになり、恒星も瞬かないという結論になってしまう。

調べてみると、木星の視直径は約 0.7' で、視力 1.5 の分解能と同じくらい。意外と微妙な数値だ。とはいえ望遠鏡で木星を見て、形が大きく変わるほどはゆらがないわけで、ゆらぎの大きさはやはり肉眼の分解能より十分小さい。

これはつまり、大気の屈折率のゆらぎによる光路変化ではなく、大気中の塵などの遮蔽物による明るさの変化が瞬きの原因ということだろうか。まあ冷静に考えれば、あの瞬きは位置変化ではなく光度変化である。恒星の光が瞳孔に届くまでに影響する大気は、瞳孔径に対応する細い円柱だが、惑星ではほぼ視直径に対応する円錐になる。まったく影響する範囲が違う。こちらの方が理にかなっているが、正しいかどうかは知らない。