Elo レーティングで過去と現在の値を比較するのは意味がない。
まず、あるプレイヤーのレーティング変化から、そのプレイヤーの強さの推移を知ることはできない。 Elo レーティング更新の前後で全プレイヤーのレーティングの合計は保存している。自身の強さが変わっていなくても、他のプレイヤーが強くなるとレーティングは下がる。
では、あるプレイヤーのレーティングだけを見て、全プレイヤー内での相対的な強さが分かるかというと、これも正しくない。なぜならプレイヤーが引退すると、引退時のレーティング - 初期レーティングを持ち去るため、平均レーティングも変動するからである。そしてこの変動はプレイヤー全体の強さの推移とは無関係である。
つまり Elo レーティングでは、同じ時点でのプレイヤー間のレーティング差のみが意味を持つ。
例外としてコンピューターの思考エンジンは強さが不変なので、特定の思考エンジンを基準にして計算すれば異なる時期のレーティングも比較できる。コンピューター将棋の世界では、 Apery twig という思考エンジンのレーティングを 3250 とした値を採用しているようだ。
コンピュータ将棋 レーティング
https://www.qhapaq.org/shogi/
人間とのレート換算についても素晴らしい資料がある。
しかしオフセットだけでなく、決して小さくない比例係数がかかるのは何なのか。 Elo レーティングが仮定している、勝敗比の積推移性があまり成り立っていないと考えるべきなのかな。