実写の映画やドラマに、現実には存在しない音楽が当たり前のようについている。冷静に考えてみると不思議である。
音楽で感情に影響を与えることは、ヒトの脆弱性を突いたハッキングみたいなものだと思う。なぜこんな脆弱性があるのか謎。きれいな絵もおいしい料理も同じではあるけれど、これらに比べてベースとなっているものが謎である。自然に存在する音、たとえば虫の音などから派生した音で感情に変化が生じるのは理解できる。今の音楽、とくに和声的側面がそういうものの延長線上にあるとは思えない。
音楽が感情に影響を与えるのは、ほとんどが後天的な経験の結果という可能性もある。そうだとしたら、音楽を支える基盤はおそろしく脆い。たとえば十二平均律からずれた音階を気持ち悪く感じる人は多い (私もそう) と思うけれど、これはたぶん後天的な学習の結果である。一方で音階を持つ音楽は複数の独立した文化で発生していて、 100% 後天的なものとも考えにくい。
動物に関してはこんな研究がある。
音楽を理解する動物はいるのか | 京都大学理学研究科・理学部 - Graduate School of Science / Faculty of Science, Kyoto University
インコがリズムに合わせて運動できることを確認(リズムをとる行動と発声模倣能力に関連があることを示唆)