思い返してみると CLR などの仮想マシンは、単に特定の命令セットに依存しないというだけではない、もっと夢のある技術だった。動的なプロファイリングと JIT によりネイティブバイナリ以上の速度が出る可能性があった。 OS と統合されたサンドボックス実行により、ハードウェアレベルの仮想メモリやプロセス分離が必要なくなり、システムコールは軽量になり、オブジェクト指向 (笑) の API が提供され、 OS レベルの GC によりメモリ管理は簡素化・効率化され、プロセスはネットワークを自由に移動し…うんぬんかんぬん。
それらのいくつかは事実ではなく、いくつかは形を変えて実用化され、いくつかは歴史的事情で葬られた。
もともと OS 自体が夢の詰まった技術だった。分散システムなどがよい例だと思う。もちろん部分的に、あるいは形を変えて生き残っているすばらしい技術はたくさんある。でも、黎明期の OS 研究者が描いた「夢」はたぶん実現していないのではないかな。