私の感覚だと、地球平面説を信じるのも、神の存在を信じるのも、毎朝の星座占いを信じるのも似たようなものである。「地球平面説を信じる異質な人がいる」のではなく、一般に「人は事実をねじ曲げて、自分に都合の良いことを信じる性質をもつ」という方が良い近似だと思う。もちろん私も現実から目を逸らしながら生きているし、ほんとうの締め切りの存在を信じて疑わない。
たぶんこの性質の強さに科学的素養のようなものは一番の因子ではない。たとえば余命三ヶ月と診断された人が怪しげな民間療法にすがったとして、原因が科学的素養のなさにあるとは思わない。人である以上、願望が論理を優越する可能性は誰にでもある。