バイオリンなどの弦楽器を調弦するとき、厳密に平均律で合わせることは少ない。二つの弦を同時に弾いて、よく響くように合わせるだけである。ではどれくらいずれるのか。
バイオリンの調弦は G, D, A, E と、隣り合った弦の音程はすべて P5 である。隣り合う二弦をもっともよく響くように調弦すると、
(12/log2) * log((3/2)^3) ~ 21 + 0.06
で、 G - E 間は 6 cent くらいずれる。フレットのない楽器として十分すぎる精度だと思う。
ギターのスタンダードチューニングは E, A, D, G, B, E である。仮に隣り合う二弦を順に合わせていくと、
(12/log2) * log((4/3)^3 * (5/4) * (4/3)) ~ 24 - 0.22
と E - E 間は 22 cent くらいずれる。弦数が多いことに加えて、純正律と平均律の差が大きい M3 を挟んでいることで精度が悪くなっている。実際には高い方の二弦を低い方の二弦を基準にチューニングする。
アコースティックギターの弾き方:チューニングをマスターしよう - 楽器解体全書 - ヤマハ株式会社
E: (12/log2) * log(3) ~ +19 + 0.02
B: (12/log2) * log((3/4)*3) ~ +14 + 0.04
G: (12/log2) * log((4/3)^2) ~ +10 - 0.04
D: (12/log2) * log(4/3) ~ + 5 - 0.02
A: 0
E: (12/log2) * log(3/4) ~ - 5 + 0.02
最大誤差は G-B 間で 8 cent. 許容範囲だと思う (ピアノの調律師に言ったら絶句されそうだけれど)。たぶん倍音の歪みの方が大きい。