子どものころ、実家で犬を飼っていた。飼ったことがある人は分かると思うけれど、犬には表情がある…ように見える。この表情らしきものが感情をどの程度反映しているかはよく分からないのだが、たとえば水の苦手な犬は水が自分に向けられると怯えるような表情をする。
ただ、一般には人が犬の表情から読み取る感情と、実際の犬の感情にずれがあるように思う。犬は高齢になると関節炎を患うことが多いけれど、明らかに足をかばって歩いている状態でも、何か特別な表情を浮かべることはない。おそらく苦痛とリンクしている表情がない (少なくとも人には読み取れない)。散歩に行くときなど、しっぽを揺らしぴょんぴょん跳ねるので嬉しいらしいことはすぐに分かる一方で、表情の変化は意外と少ない。口角が上がって人からは笑っているように見えるけれど、単に息が上がって口を開いているだけの可能性が高い。実際に気温が高くなってへばっているときにも似た表情をする。
今でもよく分からないのが、この右側の写真のような、つまらなそうな、ふてくされたような表情である。別につまらないわけではなく、単に脱力していて顔を上げるのが面倒なだけではないかと思っているのだけれど、はてさて。