子どものとき図書館で借りた本に、「完全に締まっていない蛇口から水がポタポタ流れ落ちる挙動は、流量が少ないと周期的だが多くなるとカオス的な振舞いをする」という話が載っていた。その本は話題の導入部分が教員と学生の会話形式になっていて、教員が流れ落ちる様はカオスだという話をすると、学生が「いや、それは違います。最近うちで水漏れがあって音を聞いていましたが周期的でしたよ。もう修理しましたが」と言う。それを聞いて教員が答える。「それは水の流量が少ないからだ。もう少し水漏れが悪化したらカオスを観察できたのに。なるほど凡人はこうやって発見の機会を逃すのだな」
蛇口の閉じが不完全でポタポタと音が聞こえてくると、毎回この話を思い出してちょっと放置してしまう。ちなみにカオス的挙動に移行するにはけっこうな量の漏れが必要である。放置してみるのはおすすめできない。