昔どこかで読んだ「ソムリエと普通の人とで香りを識別する能力は変わらない。たとえば香り X, A, B を提示されて、 X = A ≠ B か X = B ≠ A かを解答する問題の正答率は同程度である。違うのは香りを記憶し、分析・判断できる能力である」という話が印象に残っている (出典失念かつ記憶がおぼろげなので、そういう傾向があるというくらいに読んでほしい)。余談ながらヒトの色覚はだいたい 3 次元、味覚は 5 次元である一方で、嗅覚の次元は 400 くらいらしい。
これはたぶんソムリエに限らない一般的な話である。画家は視力が良いわけでも色差の識別能力が高いわけでもない。楽器経験者と未経験者で、音のピッチ差やタイミング差の識別能力に大きな違いはないらしい。しかし両者が同じ対象から得る情報量には圧倒的な違いがある。練習で向上するのはセンサー性能ではなく情報処理能力である、という当たり前のことかもしれないけれど。