最近はコンテンツへのネガティブな感想を書く人が減ったように思う (Amazon のレビューとかは知らん)。作者の顔が以前より見えるようになった影響は大きいだろうし、その逆もある。ネガティブな感想が目に入れば作者のモチベーション低下はいうまでもなく、ファンもよい気分にはならない。「ネガティブな感想を投稿するメリットは何もないので控えるべき」という意見もみる。私もどちらかというと同意するし、自分でそういうものを書くことはない。吐き出したいという欲求があるわけでもない。ただ、最近これが健全なのか疑問に思うことがある。
私が子どものとき、「食べ物の好き嫌いをいうのは悪いことである」と教えられていた。栄養上の理由ももちろんあるが、「その食べ物の生産者が悲しむ/生産者に失礼だから」という理屈で説明されることも多かった。教育現場がどうなっているかは知らないが、現在では一般にある食べ物を嫌いだと明言するのが問題とはみなされていないと思う。私は食べ物の好き嫌いが自由に言える今の雰囲気の方が好きだし、健全にみえる。
しかし、この「生産者が悲しむ」という論理は実際のところコンテンツの話と同じである。食べ物は自然の産物ではあるが、たくさんの手間暇をかけて作られている。生産している食べ物を嫌いと言われて大きく落ち込む人は少ないだろうが、ポジティブな影響があるとも思えない。コンテンツの論理でいえば「嫌いと明言するメリットは何もない」のだ。
結論はない。