てがみ: qatacri at protonmail.com | 統計 | 2021

202134601

純粋な重力多体系の問題として、銀河があって銀河団があって、みたいな構造は過渡的なものなのか、それとも t → ∞ で保たれるのだろうか。別に現実の銀河などを模していなくても良くて、「重力多体問題の解として、ある種の階層的な構造は安定なのか」という疑問。高校生のときに重力多体問題のプログラムを作って遊んでいたときからの疑問で、それから一切知識が更新されていなくて自分でもびっくりする。

もちろん当時の疑問はそんな高尚な形 (?) ではなかった。ランダムに質点をばらまけば、質点同士が引かれあって勝手に銀河のようなものを形成すると思っていたのに、実際に走らせてみると集まるどころか拡散してしまった。これはプログラムが悪いのか? それともそういうものなのか?

当時書いたプログラムに問題があって、それが拡散の一因になっていたのは間違いない。素朴なものであれば一見簡単そうな重力多体問題の数値計算には、「粒子が近づくと力が発散する ⇒ 誤差が発散する」という厄介な問題がある。いわゆるスケールフリーなので、十分時間刻み幅を小さくすればいい、とはならない。この問題自体には気づいていたのだけれど、よい対処法が分からなかった。これには何かエレガントな方法があるわけではなく、「質点ごとに可変の刻み幅で計算する」、「二体問題としてよく近似できる場合は解析解を使う」などの対処をするらしい。

しかしそれはそれとして、正しく計算したらどうなるかは疑問のまま残った。そもそも全系のエネルギーは保存していて、たとえば二体なら永遠に楕円軌道を回り続ける。「引かれあうから凝集するだろう」という素朴な推論は乱暴すぎる。銀河のような構造は純粋な重力多体問題の解として形成されるのか、それとも衝突や何らかのエネルギー散逸などを考慮して初めて形成されるものなのか。